神谷ランドセル

「頑なにランドセルをつくってきただけ」

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今回はGARUVAのオリジナルランドセルを作っていただいている親方・神谷俊夫のお話です。

1月8日、いつもの喫茶店で、陽の当たるいつもの席で、仕事始めのモーニング・・・一切れサンドイッチを頬張ると、残りは、隣の30年来馴染の材料屋さんにそっと皿を回す。穏やかで静かなな時間が流れ、コーヒーを啜って、カチャンとカップの音が響いて、おもむろに、{今年は、大きくしませんか}と話すでもなく、私がつぶやく。「息子に、趣味でやっとると言われとる。」と所在無げに、コーヒーを一口。

これで、3人の今年の方向性も決まった。

サイズは、相変わらず、22,5センチ。

「今年もこれだ」、そして、カップを置きながら、材料屋さんが、お決まりの一言、「世間は、大きしとるぞ!」

業界に先駆けて、いち早くクリアフアイルに対応して、22センチではなく22,5センチを作って世間を驚かせたのを、昨日のことのように思い出す。

 そんな親方が、フラットファイルに踏み切らないのは、92歳で亡くなった先代の教え・・・「肩幅を考えろ。」の言葉です。

寡黙な先代が、22.5センチにするときに強い口調で発した一言。それが「肩幅を考えろ」

親方の仕事場は、すぐそこに小学校があり、常に道行く小学生、とりわけ下校時の子供たちを見守り続けた先代の教えでした。

親の目の届かない通学路、自転車を電柱に隠れてやり過ごして、一目散に走り出す子供たち

子供にとっては自転車も、大きな脅威の一つ、一人歩きの慣れていない低学年、体を揺さぶりながら走る子供達は、前しか見ていない、ましてや、自分が背負う背中のことなど眼中にあるはずもない。

そして、私どもは、その趣味に付き合う ?・・・

しかし、業界の生き字引の材料屋さんが、帰り際、今年初めて

「親方は、あれでいいけど、大きいのをやらんとまみさんは生きてけんで、考えないかんわな!」と、車に乗り込む前に親方に聞こえないように・・・

私は、息子の時代が来たなあ、と感無量な今年の初めでした。(2019/01/12)

 

 

 

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